広場ができた

兵庫県芸術文化センターのオープニング日で佐渡裕さん指揮の第九。
「第九を演奏する前に、阪神淡路大震災で亡くなられた方のためにバッハを演奏したいと思います。」と佐渡さんが一言。出来たてのオーケストラのメンバーを指揮し、バッハを演奏。天から音が降りてきたような美しい演奏が終わった時、客席からの拍手はなく2000人近くの大ホールの観客全員が黙祷した。
震災から10年、ここは文化の復興のシンボルとして建てられた兵庫県のホールなんだと改めて実感。隣の知らないおじさんも涙を流している。黙祷が終わって明かりのついたステージを見た瞬間、ふっといろんなことが思い出されて私も涙を流してしまった。
あのときは半年近くホールに座って音楽を聞くということができなかったな。聞きに行ってたんだけど、誰かわからない誰かに悪いと思って、音楽を聞いて感動してはいけないような気になっていた。今こうやってホールに座ってじっくり聞けることが不思議な気が、久しぶりに今日はした。
「ぼくらの町に広場ができた!」
客席でお客さんが垂れ幕を掲げていた。