1月17日

kazumi-amitie2007-01-17

1月17日。
マスターが佐渡さんの『Priere(祈り)』のCDをかけ、きょうはじめて家族揃ってきていた写真家の西光さんに「おい、西光、飲もう」とスコッチを出してきた。さりげなく1月17日を過ごしたいといつも言うマスターだけど、ジャズではなくこのCDをかけている。
震災から12年も経つんだ。すごいな・・・。やっぱりあの時期の記憶はモノクロ、実は本当にモノクロの景色だったのかも。
私は神戸の長田のマンションの9階に住んでいた。すぐに火事だった。割れた食器の上を渡って脱出したので、あとで靴を見ると血だらけだったが当時はそんなことどうってことなかったので放ったらかし。地震の時は傷の手当をしていないので傷跡が残っている人がとても多い。
4日後くらいに、三木くんがバイクに乗って長田まで来てくれて(どうやって連絡とったのだろう?まったく忘れた)、「とにかく財布だけ出したい!」と、ベロンと電線がぶらさがっているのをまたいで、さぁ潰すぞと待ち構えている戦車のような自衛隊車の目を盗み、3日間火に包まれていたマンションの9階までヘルメットをかぶり二人で駆け上がった。隣も横も前も焼け野原で跡形もなく灰しかない。私のマンションが残ったのは奇跡的。たまに楽譜を開くと、この時の足跡が出てきてびっくりする。自分が経験したことではない錯覚になる。
「食べるものもなくて物質的には貧しかったけど、その時は寂しいとは思ったことはなかった。食べ物も不自由しなくなり、生活が戻っていって人と結束がなくなっていったとき、とても寂しい思いがした」とマスター。家も店もつぶれてしまったマスターは、まだ震災が終わってない。
「震災の記憶は風化させていいんですよ」