ナイト・ウィズ・キャバレッツ

kazumi-amitie2008-07-26

来月のライブ告知。
『キャバレッツ』というのは深川直美と私とで2001年に造った単語です。etteと付くと小さいのん、という意味(仏語:ポッシュ、ポシェット等)、の複数形(でも英語読み)。
大正・昭和初期歌謡、キャバレーソング(童謡をたくさん作ってる中山晋平、北原白秋などは当時流行のカフェーで歌われる唄もたくさん作っている)。エリック・サティなどフランスの文学酒場で歌われていた歌、武満徹作品も有り。ピアノは鶴来正基氏、そして初共演、ジャズクラリネット奏者の鈴木孝紀氏。ちらしデザインは三木重人氏。

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Night with Cabarettes “ナイト・ウィズ・キャバレッツ”

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古き良き時代、紳士・淑女に愛された歌


深川和美:うた
鶴来正基:ピアノ
鈴木孝紀:クラリネット


■日時 2008.8.22.金 19:30〜
■場所 モダンタイムス(三条木屋町)
京都市中京区木屋町三条上るエンパイヤビルB1
TEL. 075-212-8385
■チャージ 2,500円
■お問い合わせ 075-255-6586 アクティブKEI


Cabarette【キャバレット】とは…
「キャバレーで歌われる歌、キャバレーソング」という意味をこめた造語。

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 魅惑的な女性が、男たちにアピールするために歌うエロティックな歌でも、将来を夢見る野心的な瞳をした青年の荒削りなジャズプレイでもありません。ひと昔まえ、紳士・淑女の社交場だったキャバレーで愛された、優しくて能天気なほど明るいチャーミングな歌たちを、「キャバレット」と呼んでいます。
 大正から昭和の初め、まだ日本が軍国主義に染められるまえのこと。ヨーロッパから伝わった華やかで繊細な文化が、このアジアの端の島国で花開いていました。美術、音楽、演劇、ファッションに哲学、もちろん音楽もそうです。
 これら西洋の文化を愛したモダンな紳士や淑女は、一張羅の服に身を包み帽子や手袋で小粋にきめてキャバレーにやってきました。そして、食事やぶどう酒を味わいながら会話を楽しみ、そこに流れる西洋風の音楽に耳を傾け、浮世を忘れて夢のような時間にひたっていたことでしょう。
 今回わたしたちが奏でる歌は、そんなキャバレーで好んで歌われた西洋風の音楽“キャバレット”たちです。
 古き良き時代の空気を感じていただきたく選んだキャバレットは、まず、日本で昭和という時代が始まった1925年に、前衛的で幻想的な名曲を数多く残してこの世を去ったエリック・サティの「あなたが欲しいの」や「エンパイア劇場の歌姫」。これらは、かつて才気あふれる若き芸術家や作家たちと親交を深めたキャバレー(文学酒場)でサティが好んで演奏したものでした。
 サティ独特のユーモアで仲間たちを楽しませるために、または和ませるために作った、何気ないけれども耳に心地よい歌ばかりです。
 現代音楽の作曲家として国際的に知られる武満徹さんの曲から選んだのはラジオやテレビのドラマ用に作られた「小さな空」など。これらの歌は武満作品の中では、あまり知られていないようですが、代表作「ノヴェンバー・ステップス」のような少々難解な曲を作る一方で、大衆にも愛されるシンプルで分かりやすい、そして暖かい歌も作っておられました。
 もともと武満氏が音楽の世界に進んだのは、シャンソンの名曲「聞かせてよ、愛の言葉を」を聴き、心打たれたことがきっかけでした。この「聞かせてよ、愛の言葉を」は、ずっとパリのキャバレーで歌い続けられている歌です。そう、きっと「小さな空」などは、彼の音楽の血に含まれるキャバレットの要素が生んだ曲なのではないでしょうか。
 さらに、昭和の始めに日本のキャバレーで歌われていた、作者も分からない譜面さえも残っていなかった「踊れ、踊れ」などの曲も歌います。キャバレーを愛した人たちが口伝えで残してきた歌。色々な人の思いや記憶を託されて、そっと生きつづけてきた歌をお届けします。