秋篠寺

kazumi-amitie2006-05-21

奈良の富雄の百楽荘へ一人で車移動。
とても早く着いてしまったので、どこか行ける所はないかなと地図を見ると、秋篠寺が近そうに見える。時間あるし行ってみようと出たものの、道をさんざん迷いあきらめかけた頃、秋篠寺が現れた。
迷った分、余裕がなくなってしまったので、急いで中に入りお線香を持ってきょろきょろすると、お顔のふっくらした杖をついたおじいさんがろうそくの場所を教えてくれる。お礼を言い、お線香をあげて講堂を退出したけど、やっぱりもう一度見ておこうと思った像があったので、ぐるりと一周して再び講堂に入ってその像を見ていると、さっきの杖をついたおじいさんが後ろから
「このお方が気になられよってですか」
「え、あ、はい」
「このお方の頭は、芯になる木の周りに布を貼って、また木、布と交互に貼って、最後に木の芯をぬいてるんですわ。だから中心は空洞。平安時代に火事で焼けましてな、頭だけは助かったんですがお身体は燃えて鎌倉時代に寄せ木で作り直した。その頃運慶など有名な仏師がおられたけども、この方はどなたが作らはったかわからしませんのや。まぁ、お座りなさい。」と後ろにある椅子に通され、時間がないけども座ってしまう。
「火事で焼けた時、日光菩薩、月光菩薩は持って逃げれたんでしょうが、ご本尊は大きくて運ばれなかったんですやろな。焼けてしもうてこのご本尊も鎌倉時代ですわ。武士の時代やしお顔が凛々しい。ご本尊をよう拝んでおられたら病気しまへん。左手に薬壺もってはりますやろ。」
「あっ、ホントだ。薬師如来。」
「十二神将は、場所がなくて6体づつ右左におられるけど、本来はご本尊のまわりを12人取り囲んどかなあかん。新薬師寺とかはそうしてますやろ。この後ろには1人につき家来が6000人づついますんや。」
「へー、すごい!(時間あまりない。入り時間間に合うかなぁ)」
「そして、あなたが気になっておられたこのお方は、伎芸天と言いましてな・・・」
「え?」
「伎芸天といいまして、歌っておられますやろ。ほら、左足少し出して、ちょっと身体ひねって、手差し出して、やさしく、語るように・・・」
「あっ・・・」
あっ、やっぱり歌ってるんだ。
ご本尊が指揮者で団員もいてオーケストラみたいと、講堂に入った瞬間思ったけど、やはり歌い手。
「この位置から見る伎芸天が一番美しいと思ってましてな、ほら、来てみなさい。いや、もう少し前、もう少し左。仏像は中性ですけど、このお方は女性ですなぁ。高さは203cm」
杖をついた謎のおじいさん。
「今から富雄の百楽荘に行くんですよ。お話ありがとうございます〜。」
と急いで講堂をあとにした。