勝手に黙祷

佐渡さん指揮のマーラー交響曲第6番『悲劇的』を聞きに行く。
この曲はマーラーの幸せ絶頂期に書かれたものらしい。それを聞いたとき幸せ絶頂の時期に女が自殺するルコントの映画『髪結いの亭主』を思い出したが、そういう個人的な感情のものではなく、その後の世界情勢を暗示させるようなものに聞こえた。
トライアングルって精神を不安にさせる不吉な電話音にも似た音だなぁとか思っていたら、あとでメロディーが妙に美しくなったり、切り刻まれたり、なんだか戦争の映画を見ているようだった。
打楽器奏者が死刑台のようなステージに上がっていって巨大なハンマーを振り落とす。1発目、足下から悪寒が走った。ひー、あかん、戦争や、と目をふさいでも仕方ないのにふさいでしまうくらいモノクロの映像が出る。映画でも一番ラストの場面で目をつぶって耳をふさいでしまうタイプ。あとで「どうなった?どうなった?」と聞くので高校時代の友人からは「一緒に映画に行きたくない」と言われている。
きょうは終わってすぐに拍手できなかった。勝手に作り上げたイメージだけど戦争が終わって亡くなられた方々に黙祷したい感じだった。アンコールの武満徹さんの天へ昇ってしまうようなとても美しい曲(曲名忘れてしまった)で救われたが、きょうはかなり尾を引いた。なんでかわからないけど、生きてる時間は限りあるし周りにいる人を大切にしよう〜、と思いながら芸文センターを後にした。