スティーブとおばあさん

良質のセレクトショップをしようと探しているという美しい母娘にトアロードの様子をたずねられる。
店を探しにやってきてふらりとはじめて木馬に入ってこられた。この素朴なかわいらしさで不動産屋に交渉できるのか!怖い顔の木馬マスター貸し出ししましょうか?ってかんじ。
このお母さんのご両親はロンドンでお寿司屋を始められ、彼女は友達と離れるのがいやだったので、六甲に残って祖父母のお家に預けられた。おじいさんは戦前上海でお店を何店舗も経営して軌道に乗った頃にお金を盗まれて失敗した。でもジャズが好きでピアノもアコーディオンも弾けて毎朝トアロードで珈琲を飲んでいたらしい。その話を聞いて育ったのでトアロードにお店を持ちたいのだそう。
彼女曰くおじいさんはとっても「外国かぶれ」だったそうで名前も「スティーブ」と呼ばれていたらしい。おばあさんもアクティブで、なんと70才になってからローソンでアルバイトを始めたとか!80才まで!
そのおじいさんはコタツで横になって相撲を見ながら寝てるのか死んだのかわからないくらいフツーに死んだ。横で長年連れ添ったおばあさんは巻き煙草をプカ〜ッとふかし、「死んだわー」と相撲中継見ながらつぶやいたそう。