お葬式

再度山大龍寺のお母様のお葬式。
不義理をし続けて何年間も入っていなかった台所に入ると和世先生が「和美と着物着て一緒に歌ってからしまったままになってたんや」と喪服の襟を直しながらおっしゃる。そっか、そうだった、6〜7年前一緒に着物着て歌わせていただいたのが最後だった。
高野山真言宗派総勢何十人のお坊さんの読経、鐘、銅鑼の音が雨上がりで美しい新緑の山の中に響き渡る。お母様は戦前にこの山奥の1200年続く由緒あるお寺に嫁がれた。今の時代でこそ車があるが、昔はもちろんこの山を歩いて上り下り。この大きなお寺をしっかり切り盛りされているのに、少女のような可愛らしさがたくさんある方だった。大阪で先生のコンサートのため車でお父様とお母様を送迎させていただいたとき街のネオンを見て「まぁ、きれい!まぁ、きれい!」と連呼されていたのを思い出す。お食事もいつも「おいしいねぇ、おいしいねぇ」と何度もおっしゃりながら食べられていた。
お手伝いされてる生徒さんも代替わりしていて知らない方もたくさん。敷地内の今はなき釜風呂旅館の住人だった大さんや私はこの中では古株中の古株。受付まわりをお手伝いさせてもらっていたので、お骨となって帰られたあとの読経やお焼香にも参列させていただく。何年間も離れていたのにごく少人数の最後近くまで残っているのが不思議だ。ずっと後ろ髪引かれる思いで神戸の山の麓に住んでいたが、本当にお母様がここに戻ることもできるきっかけを作ってくれたような気がした。