石棺

文化プロデューサー伊藤めぐみさんに誘われて京大博物館ナイトツアーへ。
閉館後に入らせてもらい、茨城で発見され京大で修復された隠れキリシタンの『マリア十五玄義図』の説明を受ける。1587年に秀吉がバテレン追放令を、1614年に家康が禁教令を出し、1873(明治6)年までキリスト教の弾圧が続いたらしいが、そんな中でも信仰を続けるって私には正直理解ができない。でも待てよ、うちなんて九州の出身だ。だれもキリシタンはいなかったのか。母方の姓は天草四郎の本名と一緒だ、うーん、なーんて説明聞きながら思ったりした。
その後ミュージアムショップで懇親会。イスラエルから来られている地質学の先生、京大の先生、学生、院生、行政関係、社会なんとかなんとか、造園学、サウンドアーティスト、映像アーティスト、音楽ジャーナリスト、音楽学者の細川周平さんなどなど。
昔の京大のあれ?なんの研究だっけ?(私こういう名詞がまったく覚えられない)してる人たちのテーマソングになっていたのが宮沢賢治の『星めぐりの歌』だったらしく、めぐみさんに「星めぐり、歌って〜」と言われたので歌うと、真っ暗な博物館の奥の方から声が響いてくるのがおもしろい。「ここ気持ちいい〜」というと先生方やめぐみさんが「展示室の響きの方が気持ちいいよ、みんなで向うに行こ〜!」と大移動。
そこを入ると考古学のスペースで巨大な5世紀の石棺や日本ではじめて人体実験され解剖された人のお墓、お骨を入れるための石櫃、家形の石棺などがドーンとある・・・。閉館しているのでもちろん電気などついていない。みんなの顔も見えない真っ暗な石棺の前に立って、ふと振り返ると大理石の階段にみんな座って私が歌うのを待っている。おおお、ちょっと待ってよ、こんなところで歌うのか・・・、こりゃ大変だ、こまった、でもここはこれしかないだろう、と『はすクリア』を歌う。いろんなところから声が響き帰ってくる。ある意味こわい。みんなの顔も見えない・・・。ちょっとどこかの時代に行ってしまったかのようなすごい体験してしまった。
手前には京都で見つかったキリシタンのお墓もあった。しばらくしてミュージアムショップに戻ると博物館の先生に「石棺の中もさぞかしびっくりしてるでしょう、はい、歌ってもらったお礼」とアフリカで採れたトルマリンとアクアマリンをいただく。さすが地質学の先生。
帰りに生田川沿いの公園の巨大な石の噴水に一瞬びびる。今までなんとも思わなかったのに・・・。