幻影のような

kazumi-amitie2006-09-02

沼津にあった豪華客船ヨット『スカンジナビア』が沈没したと、アコーディオンの津田さんとギターの川瀬さんからメールが入った。ここはかずみとまやとミュゼットジャズバンドで演奏したところ。『スカンジナビア』は1927年にスウェーデンで建造され、客船ヨットとしてバルト海や大西洋、地中海などをクルーズし、沼津湾でフローティングレストランとして利用されていた。 
とにかく大金持ちの乗っていた船だったんだろう。一人づつ泊まるのに広いバスルーム2つ、ベッドルーム、リビングと3つ部屋があって広すぎる。昔のつくりなので優雅だが、明るくなく、ちょっと怖い。
川瀬さんは「幽霊がでるでー」とさんざん私たちを怖がらせて、結局は言ってた本人が一番怖がり、ベッドで寝られずソファで寝たらしい。
私たちがレストランで食事をとっていると、きっちり制服を着た執事のような男性がこちらをずっと向いて微笑している。注文しても一言も話さず、すべて笑顔で答える。
スカンジナビアを出て川瀬号で移動していると、津田さんが
「僕は霊感があるんですけど(嘘。これを言うとみんな話を信じるから、と)、あのレストランのウェイターは亡霊だと思うんですよ。昔、客船に乗っていた。」
「えええ〜、そういやあの何も言わなさはレストランの人やのにおかしいよねー」
「でも、きっちりとした立ち居振る舞いやしねー・・・」


知らせてくれた津田さんからのメール。
『この世の人とは思えない喋らない執事長のような、あのウェイターも、無口のまま船と共に沈んでいったように思えてなりません。あの船は、やはり半世紀以上前に沈没した船に違いありません。泡沫の幻影のような空間で演奏したのは、かずみとまやの貴重な体験でした。』